コラム

福利厚生で離職率は下がる?定着率を高める制度と導入事例

離職率の改善を検討する際、企業ではさまざまな施策が検討されます。給与制度の見直しや働き方の改善、職場環境の整備などがその代表例です。その中の一つとして挙げられるのが「福利厚生制度」です。
従業員の生活や健康を支える仕組みとして、多くの企業で導入されています。

ただし、福利厚生を導入すれば必ず離職率が改善するとは限りません。制度の内容や使われ方によっては、十分に活用されないケースもあります。

・「福利厚生は離職率対策に本当に役立つのか?」
・「制度を導入しても定着率が改善しないのはなぜか」
・「離職率対策としてどのような福利厚生を検討すべきか」

こうした悩みを持つ方に向けて、本記事では福利厚生と離職率の関係や、離職率が高まりやすい背景、離職率対策として検討される福利厚生制度の特徴、そして導入事例について解説します。

福利厚生と離職率の関係

福利厚生は離職率改善に効果があるのか

福利厚生は、従業員の生活や健康を支える制度として、多くの企業で導入されています。給与だけでなく、働きやすさや生活面のサポートが整っていることは、企業を選ぶ際の判断材料の一つになるとされています。

福利厚生が充実している企業では、従業員が会社に対して安心感や信頼感を持ちやすくなるため、結果として定着率の向上につながる可能性があります。ただし、離職率は給与水準、労働時間、職場環境、人間関係など複数の要因に影響されるため、福利厚生だけで必ず改善するとは限りません。

そのため、多くの企業では給与制度や働き方改革とあわせて福利厚生制度の見直しを進めています。

福利厚生を導入する企業の目的

企業が福利厚生制度を導入する主な目的として、次のようなものが挙げられます。

  • 従業員満足度の向上
  • 人材の定着率向上
  • 採用競争力の強化
  • 健康経営の推進

特に中小企業では、大企業のように給与水準で競争することが難しい場合もあり、福利厚生制度を通じて働きやすい環境づくりを進める企業が増えています。

新卒3年以内離職率の現状

若手人材の早期離職は、多くの企業が抱える課題の一つです。

厚生労働省「新規学卒者の離職状況」(2024年公表)によると、入社後3年以内の離職率は以下の通りです。

  • 大卒:約34.9%
  • 高卒:約38.4%

つまり、新卒社員の約3人に1人が3年以内に離職している計算になります。

こうした背景には、労働時間や休日などの労働条件、仕事内容とのミスマッチ、キャリアへの不安などさまざまな要因があると考えられています。そのため企業では、給与だけでなく、働きやすさや生活面を支える制度として福利厚生の見直しを検討するケースもあります。

離職率の平均

日本企業の平均離職率

離職率の水準は業界や企業規模によって異なりますが、目安としてよく参照されるのが 厚生労働省 の「雇用動向調査」です。

厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」(2024年公表)によると、日本の常用労働者の離職率は14.2%となっています。

そのため、企業の離職率を評価する際には、この平均水準を一つの参考指標として比較されることがあります。例えば、平均より大きく上回る場合には、働き方や職場環境、人材育成の仕組みなどに課題がないかを確認する目安として用いられることもあります。

ただし、離職率は業界の特性や雇用形態、事業構造などによっても大きく異なるため、単純に数値だけで判断するのではなく、同じ業界内での水準や企業の状況とあわせて考えることが重要です。

業界別の離職率

離職率は業界によって差があります。厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」では産業別の入職率・離職率が公表されており、業種ごとに人材の定着状況が異なることがわかります。

出典|厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」

産業別の離職率は次の通りです。

・宿泊業・飲食サービス業:18.1%
・生活関連サービス業:16.9%
・医療・福祉:13.1%
・全産業平均(就業形態別):11.5%

このように、業界によって離職率には差があります。

離職率が高くなりやすい背景としては、勤務時間の不規則さや身体的・精神的な負担の大きさ、人手不足による業務量の増加などが挙げられます。例えば、宿泊業・飲食サービス業では夜間勤務やシフト勤務が多く、生活リズムが不規則になりやすい特徴があります。生活関連サービス業でも接客業務が中心となるため、土日勤務や長時間労働が発生しやすい場合があります。

また、医療・福祉分野では、身体的な負担の大きい業務や人手不足の影響により、職場環境の改善が課題として挙げられることがあります。

このように、業界ごとの働き方や業務特性が離職率に影響している可能性があり、定着率を高めるためには労働環境の整備やサポート制度の充実が重要になると考えられます。

離職率が高まりやすい会社の特徴

離職率が高い企業には、いくつかの共通する要因が見られることがあります。

労働条件への不満

総務省統計局の調査では、転職理由として「労働時間や休日などの労働条件」が挙げられることがあります。長時間労働や休日の少なさ、勤務時間の不規則さは、従業員の負担を大きくし、離職のきっかけになりやすい要因です。

福利厚生制度の不足

給与だけでなく、働く環境やサポート体制も企業選びの重要な要素です。福利厚生が十分に整備されていない企業では、働く環境への不安が生じやすくなる場合があります。こうした不安が、転職を考える一因になる可能性もあります。

成長機会の不足

スキルアップやキャリア形成の機会が少ないと感じる場合も、離職につながる可能性があります。
研修制度や資格取得支援などの制度を整えることで、従業員のモチベーション向上につながる場合があります。

離職率対策として検討される福利厚生制度

離職率対策として福利厚生を見直す企業もあります。ただし、制度の数を増やすだけでは十分とはいえません。重要なのは、従業員が実際に利用しやすく、日常生活の中でメリットを感じられる制度であるかどうかです。

ここでは、離職率対策として検討される福利厚生制度の特徴と、主な制度の種類を整理します。

定着率向上につながりやすい福利厚生の特徴

定着率向上につながりやすい福利厚生には、次のような共通点があります。

・日常生活の中で利用できる
・対象者が限定されていない
・利用手続きが簡単
・地域による利用格差が少ない

例えば、特定の施設のみで利用できる福利厚生や、申請手続きが複雑な制度は利用率が低くなる傾向があります。一方、日常生活の中で自然に利用できる制度は、従業員がメリットを実感しやすいとされています。

福利厚生制度の主な分類

福利厚生制度は内容によってさまざまですが、離職率対策として検討されることが多い制度は、大きく次の 5つの分類に整理できます。

分類福利厚生制度の例制度の特徴
休暇制度・働き方支援フレックスタイム制度
リモートワーク制度
特別休暇
ワークライフバランスの改善につながる
健康支援制度人間ドック補助
フィットネス補助
健康相談サービス
従業員の健康管理をサポート
生活支援制度食事補助
オフィスコンビニ
日用品割引
日常生活で利用しやすい福利厚生
家族支援制度育児支援
介護支援
家族手当
ライフイベントへの対応を支援
自己成長支援資格取得補助
研修制度
学習支援
キャリア形成をサポート

福利厚生は制度の種類だけでなく、「従業員が実際に利用しやすいか」という視点で設計することが重要です。制度があっても利用されなければ、従業員満足度の向上にはつながりにくいためです。

例えば、特定の施設だけで利用できる福利厚生や、申請手続きが複雑な制度は利用率が低くなる傾向があります。一方で、食事補助や生活支援など日常生活で利用しやすい制度は、従業員がメリットを実感しやすいとされています。

離職率対策には、福利厚生制度の見直しだけでなく、日常のコミュニケーションや組織文化の改善も重要です。具体的な離職防止の取り組みについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。

福利厚生「カロリパークス」導入での事例

福利厚生制度を見直すことで、従業員満足度や働きやすさの向上につながった事例もあります。

スマートフォンアプリを活用した福利厚生サービス「カロリパークス」を導入した企業では、離職率に変化が見られたケースがあります。

※導入前1年間と導入後1年間の比較(自社調査・匿名企業2022年4月~2023年3月データ)

導入前後を比較すると、いずれの企業でも離職率が約4%改善しています。

こうした変化には、カロリパークスの「日常的に利用しやすい」という特性が関係している可能性があります。例えば、特定の施設や地域に限定されず使えること、日々の生活に近い支出で活用しやすいこと、スマートフォンで完結しやすいことなどは、制度の利用ハードルを下げる要素です。

福利厚生は、制度があること自体よりも、従業員が実際に使いやすいかどうかが重要です。日常生活の中で接点を持ちやすい福利厚生は、満足度や会社への印象に影響しやすいと考えられます。

福利厚生は離職率対策の一つとして見直す価値がある

福利厚生は、従業員の生活や健康、働きやすさを支える制度として、多くの企業で導入されています。
離職率は給与や労働時間、人間関係など複数の要因で決まるため、福利厚生だけで改善するとは限りませんが、定着率向上を考えるうえで見直す価値のある施策の一つです。

とくに重要なのは、制度を導入することではなく、従業員に実際に利用されることです。
利用条件が複雑だったり、対象者が限られていたり、日常生活と接点が薄かったりする制度は、定着率への影響も見えにくくなります。

離職率対策として福利厚生を見直す場合は、制度の数や見栄えではなく、従業員にとって使いやすいか、生活の支えとして実感しやすいかという観点で設計することが重要です。

「カロリパークス」は、日常生活の支出を福利厚生として活用できる仕組みによって、従業員が制度の価値を実感しやすい設計を目指したサービスです。福利厚生の見直しや定着率向上を検討している企業は、ぜひ検討してみてください。

参考文献