コラム

福利厚生の利用率が低いのはなぜ?使われない制度の原因と改善ポイント

福利厚生は、制度の数が多ければよいというものではありません。

実務で見るべきなのは、「用意されているか」ではなく「実際に使われているか」です。制度があっても利用が進まなければ、従業員の生活や働き方を支える機能は弱くなり、担当部門にとっては費用対効果を説明しにくい状態になります。

実際に、以下のような課題を感じている企業も少なくありません。

・福利厚生の利用率が低く、何を見直せばよいか分からない
・制度はあるが、利用率が低い原因を把握できていない
・利用率を改善するには、何を見直すべきか知りたい

この記事では、福利厚生の利用率が低くなる原因を整理しながら、利用率が低い状態を改善するために見直したいポイントや、利用されやすい制度との違いを実務目線で解説します。

福利厚生の「利用率が低い状態」とは?

福利厚生の利用率が低いかどうかは、単に「制度があるかどうか」では判断できません。

実務では、「誰が」「どの制度を」「どれくらい利用しているか」まで含めて整理する必要があります。

制度自体は全従業員向けでも、実際には一部の従業員しか利用していないケースもあります。また、利用件数が一定数あっても、特定の制度や利用者に偏っている場合は、福利厚生全体として利用が広がっているとは言いにくい状態です。

特定の制度しか利用されていない

福利厚生には、慶弔見舞や特別休暇のように「必要なときだけ使う制度」と、日常的に接点を持ちやすい制度があります。

前者は重要ですが、利用頻度が低くなりやすいため、福利厚生全体として「使われていない」という印象につながる場合があります。

また、一部の制度だけ利用が集中し、他制度がほとんど使われていない場合は、制度構成や利用導線に課題がある可能性があります。

利用者が固定化している

利用件数だけで判断すると、実態を見誤ることがあります。

例えば、利用件数が一定数あっても、同じ人が繰り返し利用している場合、全体としては利用が広がっていない状態といえます。

実務では、以下のように分けて確認することが重要です。

・利用率(利用者数 ÷ 対象者数)
・利用の偏り(特定の層に集中していないか)
・利用の広がり(利用者が固定化していないか)

利用状況を把握できていない

利用率の低さは、数字として把握していないと気づきにくいものです。

制度ごとの利用人数は把握していても、対象者に対する利用割合や、部署・雇用形態ごとの差異まで見ていないケースは少なくありません。

また、福利厚生は賃金のように毎月目に見える項目ではないため、経営会議や人事会議で後回しになりやすい面があります。

制度が続いているだけで安心してしまい、「実際に使われているか」を確認しないまま運用されることが、利用率低下の長期化につながります。

福利厚生が利用されない5つの原因

利用率が低い理由は、複数あります。認知不足、使いにくさ、対象の偏り、日常生活との距離、運用の停滞が重なり、徐々に「使われない制度」になっていきます。

ここでは、実務で特に見落としやすい5つの原因を整理します。

認知されていない

制度案内を配布した時点で周知したつもりになっていても、従業員にとっては「知っている」と「使い方が分かる」は別です。

特に、導入時だけ説明して、その後の入社者向け導線が弱い場合、制度は時間とともに“知る人だけが知っているもの”になりやすくなります。

利用までの手間が大きい

福利厚生は、利用条件の確認、申請、承認、精算などの工程が多いほど、利用率が下がりやすくなります。

制度内容が魅力的でも、申請書類が多い、上長承認が必要、使える条件が分かりにくいといった状態では、日常の忙しさの中で後回しになりがちです。

対象者が限定されている

制度が存在していても、使える人と使えない人が分かれていれば、全体の利用率は伸びにくくなります。

制度上は全員対象でも、勤務地や働き方によって使いやすさに差が出る場合があります。特定の雇用形態や拠点だけ利用しやすい状態では、福利厚生全体の利用率は上がりにくくなります。

日常と接点がない

年1回だけ使う制度や、特定のイベント時だけ対象になる制度は必要ですが、それだけでは「福利厚生を使っている実感」が生まれにくいことがあります。

利用率を伸ばすには、日常生活の中で接触頻度が高い仕組みがあるかも重要です。

導入後に放置されている

福利厚生は、一度決めて終わる制度ではありません。

働き方や物価、勤務地、従業員構成が変われば、同じ制度でも使われ方は変わります。導入時のまま内容や周知方法を更新しないと、制度が現状に合わなくなります。

福利厚生が利用されない背景には、こうした複数の要因が重なっているケースも少なくありません。

そのため、利用率だけを見るのではなく、利用状況の偏りや継続性なども含めて整理することが重要です。

福利厚生の利用率を改善する具体的な方法

福利厚生の利用率を改善するには、単に制度数を増やすだけでは不十分です。
「どの制度を導入するか」だけでなく、「実際に使われる状態になっているか」を見直す必要があります。

利用までの手間を減らす

制度内容が魅力的でも、利用までの負担が大きいと利用率は伸びにくくなります。

福利厚生では、「あとで申請しようと思って結局使わない」という状態が起こりやすく、申請書類の多さや承認フローの複雑さは、そのまま利用率低下につながります。

特に、毎回利用条件を確認しなければならない制度や、担当部署への問い合わせが必要な制度は、一部の従業員しか使わなくなりやすい傾向があります。

そのため、スマートフォンで完結できるか、申請方法が簡単か、利用方法をすぐ確認できるかなど、「迷わず使える状態」を作ることが重要です。

日常的に使われる制度を増やす

利用率改善では、「必要なときだけ使う制度」だけでなく、日常生活の中で継続的に接点を持てる制度が重要になります。

例えば、慶弔見舞や宿泊補助のような制度は必要ですが、利用機会が限られるため、福利厚生全体としては「使っている実感」が生まれにくい場合があります。一方で、普段の生活の中で自然に利用機会が発生する制度は、継続利用につながりやすい傾向があります。

利用率を改善するには、「制度がある状態」ではなく、「日常的に接触する状態」を作れるかも重要です。

対象者の偏りを見直す

制度上は全員対象でも、勤務地や雇用形態によって使いやすさに差が出る場合があります。

例えば、本社勤務者は利用しやすい一方で、現場勤務者は利用機会が少ない制度では、福利厚生全体として利用が広がりにくくなります。また、申請できる時間帯や利用方法によっては、シフト勤務者や非正規雇用者が使いにくいケースもあります。

こうした状態では、一部の従業員しか制度を利用しなくなり、「福利厚生はあるが使われていない」という印象につながりやすくなります。

そのため、「制度があるか」だけではなく、「誰でも利用しやすい状態になっているか」という視点で見直すことも重要です。

利用方法を分かりやすくする

制度内容が魅力的でも、使い方が分からなければ利用にはつながりません。

特に、福利厚生は「どんな場面で使えるのか」が伝わっていないケースも多く、「自分には関係ない制度」と認識されてしまうことがあります。また、導入時だけ説明して、その後の案内が止まってしまうと、新入社員や利用経験のない従業員には制度が浸透しにくくなります。

そのため、社内ポータルやチャットツールなどを活用しながら、利用方法を継続的に案内したり、「どの場面で使える制度なのか」を具体的に伝えたりすることが重要です。

利用率が高い福利厚生に共通する特徴

利用率が高い制度には、いくつか共通点があります。

豪華な制度であることよりも、「使うまでの距離が短いこと」「利用対象が偏らないこと」「日常生活の中で自然に接点を持てること」が重要です。

日常行動に組み込まれている

利用率が高い制度は、日常生活の中で自然に利用機会が発生しやすい傾向があります。

例えば、食事、健康管理、歩数記録など、普段の生活動作とつながっている制度は、「使うために特別な準備をする必要がない」という特徴があります。一方で、年1回しか利用機会がない制度や、特定のタイミングでしか使えない制度は、制度自体が必要であっても利用頻度は低くなります。

そのため、利用率を改善するには、「必要なときだけ使う制度」だけではなく、日常的に接点を持ちやすい制度設計になっているかも重要です。

利用のハードルが低い

制度内容が魅力的でも、利用までの手間が大きいと利用率は伸びにくくなります。

申請方法が分かりにくい、上長承認が必要、利用条件を毎回確認しなければならないといった状態では、制度利用が後回しになりやすくなります。一方で、スマートフォンで完結できる、利用方法が分かりやすい、担当者を介さず利用できる制度は、継続利用につながりやすい傾向があります。

福利厚生では、「制度内容」だけでなく、「どれだけ負担なく使えるか」も利用率に大きく影響します。

対象が広く公平である

利用率が高い制度は、一部の従業員だけが利用しやすい構造になりにくい傾向があります。制度上は全従業員向けでも、勤務地や雇用形態によって使いやすさに差がある場合、利用率は偏りやすくなります。

例えば、本社勤務者しか利用しづらい制度や、現場勤務者が使いにくい制度では、福利厚生全体として利用が広がりにくくなります。

そのため、「制度があるか」だけではなく、「誰でも利用しやすい状態になっているか」という視点も重要です。

福利厚生の利用率は「制度設計」で変わる

福利厚生の利用率が低い原因は、制度数だけでは説明できません。認知されていない、手間が大きい、対象が偏っている、日常との接点がない、導入後に更新されていない。こうした条件が重なると、制度はあっても使われません。

一方で、利用されやすい制度には共通点があります。勤務地や働き方に左右されず、日常生活の中で使いやすく、利用までの手間が少なく、担当部門にとっても運用が続けやすいことです。

まずは、自社の福利厚生が「なぜ使われていないのか」を整理し、利用率が低下している原因を把握することが重要です。

そのうえで、利用率を改善するには、制度内容だけでなく、「使われ方」や「利用導線」まで含めて見直す必要があります。

特に、日常生活の中で自然に接点を持てる制度や、利用までの手間が少ない制度は、継続利用につながりやすい傾向があります。

カロリパークスでは、歩数・食事記録・睡眠など、日常生活の中で利用しやすい福利厚生サービスを提供しています。従業員が日常的に利用しやすい設計にすることで、「福利厚生を導入しているが利用率が伸びない」「制度が一部の従業員しか使われていない」といった課題に対応しています。

福利厚生の見直しや、利用率改善を検討している場合は、サービス資料のダウンロードや導入相談が可能です。

参考・出典
  • 厚生労働省「中小企業における福利厚生の取組事例を収集・公表しました」(2026年3月23日)
  • JILPT 資料シリーズNo.247「わが国の福利厚生の導入と利用の実態とその諸要因、そして有効性の検証」(2022年3月15日)