コラム

社会保険は福利厚生に含まれる?企業担当者が知っておきたい制度の位置付け

福利厚生制度の見直しや制度設計を進める人事・総務担当者の中には、「社会保険は福利厚生に含まれるのか」「福利厚生と社会保険は何が違うのか」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。

社会保険は従業員の生活を支える重要な制度ですが、福利厚生との関係が分かりにくく、制度の位置付けを正しく整理できていないケースも少なくありません。

また、福利厚生制度を見直す際には、社会保険のように法律で対応が求められる制度と、企業が独自に設計する制度を分けて考える必要があります。制度の位置付けを正しく理解していないと、福利厚生全体を整理する際に混乱してしまうこともあります。

そこで本記事では、次のような疑問を整理します。

・社会保険は福利厚生に含まれるのか
・法定福利厚生としての社会保険はどのような制度なのか
・企業担当者はどのように理解しておくべきか

社会保険と福利厚生の関係を整理しながら、企業担当者が押さえておきたい制度の位置付けについて解説します。

社会保険は福利厚生に含まれる?

社会保険は法定福利厚生に分類される

結論からいうと、社会保険は福利厚生に含まれます。ただし、福利厚生そのものを指すわけではありません。

社会保険は福利厚生の中でも、法律によって企業に対応が義務付けられている「法定福利厚生」に分類されます。

法定福利厚生とは、法律によって企業に整備や運用が求められている制度のことです。企業が任意で導入する制度ではなく、法令に基づいて対応しなければなりません。

企業実務で関わる主な法定福利厚生には、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険などがあります。これらは病気やけが、失業、介護、老後などのリスクに備えるための制度であり、子ども・子育て拠出金は児童手当制度や子育て支援施策の財源として事業主が負担する制度です。

社会保険は従業員の生活を支える制度として福利厚生に位置付けられています。ただし、企業が自由に内容を設計する福利厚生とは異なり、法律に基づいて運用する制度である点が特徴です。

福利厚生は社会保険だけを指すものではない

福利厚生には、社会保険のように法律で対応が求められる制度だけでなく、企業が独自に導入する制度も含まれます。例えば、食事補助や住宅関連制度、資格取得支援制度、健康支援制度などが代表例です。

こうした企業独自の福利厚生は、一般的に「法定外福利厚生」と呼ばれます。一方、健康保険や厚生年金保険、雇用保険、労災保険などは「法定福利厚生」に分類されます。

なお、実務や日常会話では、「福利厚生」という言葉を食事補助や住宅手当などの法定外福利厚生のみを指す意味で使うケースもあります。

「社会保険=福利厚生」ではなく、「社会保険は福利厚生を構成する制度の一つ」と理解すると整理しやすくなります。

では、社会保険と福利厚生には具体的にどのような違いがあるのでしょうか。次に、それぞれの役割や位置付けを整理します。

社会保険と福利厚生の違い

社会保険と福利厚生は同じ意味で使われることがありますが、実際には指している範囲や役割が異なります。

社会保険は福利厚生の一部ですが、福利厚生全体を指すものではありません。制度の位置付けを整理しておくことで、福利厚生制度全体を理解しやすくなります。

社会保険は法律に基づく制度

社会保険は、健康保険や厚生年金保険などの公的制度を指します。対象となる企業には加入手続きや保険料負担などが求められ、法令に沿って運用する必要があります。

そのため、社会保険は福利厚生の一部ではありますが、企業が自由に設計する制度ではありません。

企業担当者が福利厚生制度を整理する際は、まず社会保険を「法律に基づいて対応する制度」として位置付けることが重要です。

社会保険と福利厚生の比較

社会保険と企業独自の福利厚生の違いを整理すると、以下のようになります。

項目社会保険企業独自の福利厚生
根拠法律企業判断
導入条件を満たす場合は対応が必要任意
内容変更企業の判断では変更できない企業が設計できる
主な目的従業員の生活保障働きやすさや生活支援
健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険食事補助、住宅関連制度、資格取得支援制度

企業が押さえておきたい社会保険の基本

社会保険を構成する主な制度

企業実務で関わる主な社会保険制度は次のとおりです。

なお、実務上は健康保険・厚生年金保険・介護保険を「社会保険」雇用保険・労災保険を「労働保険」と区別して呼ぶことがあります。一方で、福利厚生や法定福利厚生を説明する場面では、これらをまとめて扱うケースも少なくありません。

制度主な役割
健康保険病気やけがをした際の医療費負担を軽減する
厚生年金保険老後や障害時の生活を支える
介護保険介護サービス利用時の負担を支える
雇用保険失業時や育児休業時などの給付を行う
労災保険業務中・通勤中の事故やけがを補償する

それぞれ目的は異なりますが、共通しているのは従業員の生活を支える制度であることです。

企業担当者は、これらを単なる福利厚生の一つとしてではなく、法令に基づいて適切に運用すべき制度として理解しておく必要があります。

企業に求められる役割

社会保険は企業が自由に導入する制度ではありません

対象となる事業所や従業員については、法令に基づいて加入手続きを行う必要があります。また、従業員の入社や退職、勤務条件の変更などがあった場合には、必要な届出を行うことも企業の役割です。

加入条件を正しく理解していないと、本来加入すべき従業員が未加入となる可能性もあります。

食事補助や住宅手当などの企業独自の福利厚生であれば、内容や対象者を企業の判断で設計できます。しかし、社会保険は法律に基づいて運用される制度であり、企業の判断だけで加入の有無や制度内容を変更することはできません。

この点が、社会保険と企業独自の福利厚生との大きな違いです。

企業担当者が社会保険を理解しておくべき理由

福利厚生制度の検討で判断を誤らないため

福利厚生制度を見直す際は、まず社会保険のような法定福利厚生と、企業が独自に導入する福利厚生を分けて考える必要があります。

社会保険は法律に基づいて対応する制度であり、企業の判断で導入の有無を決めることはできません。一方で、企業独自の福利厚生は、自社の方針や従業員の状況に応じて設計できます。

社会保険と福利厚生の違いを理解しておくことで、「法令対応として整備すべき制度」と「企業独自の施策として検討する制度」を整理しやすくなり、制度設計の判断を誤りにくくなります。

法令対応と福利厚生施策を切り分けるため

福利厚生について検討する際に、社会保険と企業独自の制度を同じ視点で考えてしまうケースがあります。

しかし、社会保険は法令対応が前提となる制度であり、福利厚生施策とは目的や運用方法が異なります。

企業担当者が両者の違いを理解しておくことで、制度設計や運用方針を整理しやすくなります。また、福利厚生制度の見直しを行う際にも、何を法令対応として管理し、何を企業施策として検討するべきかを判断しやすくなります。

社会保険と福利厚生の関係を正しく理解しよう

社会保険は、企業に対応が義務付けられている法定福利厚生です。一方で、福利厚生には社会保険以外にも、企業が独自に導入できるさまざまな制度が含まれます。

福利厚生制度を検討する際は、まず法定福利厚生である社会保険を適切に運用したうえで、自社の課題や従業員ニーズに合わせた制度を整備していくことが重要です。

近年は、健康経営の推進や従業員エンゲージメント向上を目的として、健康支援やコミュニケーション活性化につながる福利厚生を導入する企業も増えています。

カロリパークスは、従業員の健康づくりやコミュニケーション促進を支援する福利厚生サービスです。福利厚生制度の充実や健康経営の取り組みを検討している方は、資料ダウンロードやお問い合わせをご活用ください。

参考資料