コラム

ウェルビーイングの取り組みとは?企業で考えたい5つの領域と実践例

ウェルビーイングを意識した職場づくりを進めたいと考えても、「企業として具体的に何をすればよいのか」「健康経営や福利厚生とどう違うのか」と迷うこともあるのではないでしょうか。

ウェルビーイングは心身の健康だけでなく、生活の質や人とのつながり、働き方、成長などを含めて、人がより良い状態で過ごすことを考える概念です。そのため企業で取り組む際も、特定の施策を導入することから始めるのではなく、自社がどのような状態を目指すのかを整理する必要があります。

検討する際には、次のような疑問が生じやすくなります。

・ウェルビーイングでは、企業として何に取り組めばよいのか
・具体的にはどのような施策が考えられるのか
・自社に合う取り組みは何を基準に選べばよいのか

本記事では企業で検討できるウェルビーイングの取り組みを、考えやすいよう5つの領域に整理して紹介します。あわせて自社の課題に合った施策を選び、実際の利用や継続的な運用につなげるための確認ポイントも解説します。

ウェルビーイングの取り組みとは

ウェルビーイング(Well-being)は、心身の健康だけでなく、生活の質、人とのつながり、意味や目的などを含め、人や社会のより良い状態を多面的に捉える概念です。また、その状態には社会的・経済的・環境的な条件も関係します。

内閣府でも、ウェルビーイングに関わる満足度や生活の質を多面的に把握するため、「満足度・生活の質に関する調査」を実施しています。2026年調査は第8回にあたり、約1万サンプルを対象としています。

企業に置き換えるとウェルビーイングの取り組みは、従業員の健康支援だけに限定されません。働く環境、人との関係、学びや成長、日常生活との関わりなども検討対象になります。

ウェルビーイングは、健康経営や福利厚生、従業員満足度と関連しますが、それぞれ意味や位置づけが異なります。なお、企業が経営や組織づくりの観点からウェルビーイングの向上を目指す考え方は、「ウェルビーイング経営」と呼ばれることがあります。

概念主に捉えるものウェルビーイングとの関係
ウェルビーイング健康、生活、人とのつながり、成長、意味・目的など人のより良い状態を幅広く捉える考え方
健康経営従業員等の健康健康管理を経営的な視点から考え、健康の保持・増進に取り組む考え方
福利厚生従業員の健康や生活などへの支援ウェルビーイングを支える施策・手段の一つ
従業員満足度仕事や職場などに対する満足従業員の状態を把握する材料の一つ

従業員満足度は、仕事や職場に対する満足を把握する指標の一つです。一方、ウェルビーイングでは、健康や生活、人とのつながり、成長など、より幅広い側面を捉えます。

健康診断や運動支援などは健康経営とも重なる領域です。一方、ウェルビーイングでは、健康以外の働き方や人とのつながり、成長、日常生活なども含めて従業員の状態を捉えます。

福利厚生についても、制度やサービスを導入すること自体が目的ではありません。自社がどのような課題を支援したいのかを明確にし、そのための手段として位置づけることが重要です。

企業でできるウェルビーイングの取り組み例

企業におけるウェルビーイングの取り組みは、「何を導入するか」から考えるよりも、「従業員のどのような状態を支えたいのか」という視点から整理すると検討しやすくなります。

ここでは取り組みを考えるための整理として、心身の健康、働き方、人とのつながり、成長・キャリア、日常生活の5つに分けて紹介します。これは公的に定められた分類ではなく、企業が施策を検討しやすくするための整理です。

領域支える内容取り組み例
心身の健康身体や心の健康、生活習慣健康状態の把握、運動・食事・睡眠への支援、相談窓口
働き方働く時間や環境、仕事との両立柔軟な勤務制度、休暇取得、業務負担の確認
人とのつながり職場での関係やコミュニケーション1on1、相談機会、社内交流
成長・キャリア学習や能力開発、キャリア形成研修、学習支援、キャリア面談
日常生活仕事以外の生活や余暇食事・生活・レジャーなどの福利厚生

すべての領域に同時に取り組む必要があるわけではありません。5つの領域は、自社に必要な施策を整理するための視点として活用できます。

心身の健康を支える

心身の健康に関する取り組みには、健康状態の把握に加えて、運動・食事・睡眠などの生活習慣への支援、心の健康に関する相談体制などがあります。

例えば日常的に運動するきっかけをつくる、食事や睡眠などを振り返れる環境を用意する、不調を感じた際に相談できる窓口を整えるといった方法が考えられます。

ただし、健康施策を増やすこと自体がウェルビーイングの目的ではありません。自社で心身の健康について改善したい点がある場合には、その内容に応じて必要な支援を検討します。

これらは健康経営とも重なる領域ですが、ウェルビーイングでは健康だけに範囲を限定せず、ほかの領域との関係も含めて捉えます。

働きやすい環境を整える

個人の生活習慣だけでなく、仕事をする環境そのものもウェルビーイングを考える要素になります。

例えば、勤務時間や休暇の取得状況、業務量、勤務場所、仕事と育児・介護との両立状況などから、自社の働き方に負担が偏っていないかを把握します。

制度を設ける際は、勤務形態や業務内容によって利用できる従業員に偏りが生じないよう、実際の運用も考慮することが大切です。

人とのつながりやコミュニケーションを支える

ウェルビーイングには、人とのつながりや社会的な関係も関わります。職場では上司や同僚との関係、相談できる環境、必要な情報を共有できる状態などが該当します。

具体的な取り組みとしては、定期的な1on1、相談窓口、部署を越えた交流機会などが考えられます。

交流の機会を設ける際は、自社が抱えるコミュニケーション上の課題と合っているかを考える必要があります。例えば「悩みがあっても相談先が分からない」場合と「部署間で情報共有が進まない」場合では、必要な施策は異なります。自社で改善したい状況を具体化することで、必要な仕組みを整理しやすくなります。

成長やキャリアを支える

ウェルビーイングを考える際には、現在の働きやすさだけでなく、学びや成長、仕事に意味や目的を感じられるかという側面もあります。

企業で検討できる施策としては、研修、資格取得支援、オンライン学習、キャリア面談などがあります。従業員が必要な知識やスキルを身につけたり、今後の働き方について考えたりできる機会を整える方法です。

研修や制度の数ではなく、現在の業務や今後のキャリアに必要な学びにつながっているかを見ます。従業員のニーズと内容が合っていなければ、制度を設けても十分に活用されない可能性があります。

日常生活を支える

仕事以外の日常生活を支援することも、企業が検討できる取り組みの一つです。食事や健康づくり、余暇、レジャーなどに関する福利厚生制度や福利厚生サービスは、その手段として位置づけられます。

食事や健康支援のように日常的に利用できるものと、宿泊やレジャーのように利用機会が限られるものでは、従業員との接点や使われ方が異なります。

そのため福利厚生メニューの数だけを見るのではなく、自社の従業員の生活や働き方と接点があるかを確認します。

福利厚生をウェルビーイングの制度として活用する場合は、どのような課題を支援する制度なのかを明確にし、従業員がどのような場面で利用するのかまで具体化します。

ウェルビーイングの取り組みは5つの領域から優先順位を考える

ウェルビーイングの取り組みにはさまざまな選択肢がありますが、他社で行われている施策がそのまま自社にも必要とは限りません。自社に合った取り組みを選ぶには、まず改善したい状態を把握し、対応する領域を明確にしたうえで施策を比較します。

従業員や職場の状態を把握する

まず、従業員がどのような課題を抱えているのかを把握します。従業員アンケートや面談で寄せられた意見に加え、勤務時間や休暇取得状況、既存制度の利用状況なども判断材料として活用できます。

例えば、生活習慣への支援、業務負担、社内コミュニケーション、学習機会など、どこに改善余地があるかによって検討する施策は変わります。

優先して支援する領域を決める

改善したい点が見えてきたら、本記事で紹介した「心身の健康」「働き方」「人とのつながり」「成長・キャリア」「日常生活」のどの領域を優先するのかを考えます。

すべての領域を一度に対象とする必要はありません。生活習慣の改善を目指すなら健康支援、仕事と生活の両立を支えたいなら柔軟な勤務制度など、改善したい状態に対応する施策を候補にします。

目的に合う施策を検討する

候補となる施策を比較する際は、「誰の、どのような課題に対応するのか」を説明できるかを判断基準にします。

既存の福利厚生が利用されていない場合も、すぐに新しいメニューを追加するのではなく、制度が知られていないのか、利用条件が合っていないのか、従業員のニーズとずれているのかを把握します。原因によっては、新しい制度を導入するよりも、既存制度の周知や利用方法の見直しを優先した方がよい場合もあります。

取り組みは「利用しやすさ」と「続けやすさ」まで確認する

ウェルビーイングの施策は内容だけでなく、対象となる従業員が利用・参加できるかという視点も必要です。勤務場所や勤務時間、利用方法によって、参加しにくい人が生じないかを確認します。

また、管理部門の運用負担も見ておきます。利用状況の把握や周知に大きな手間がかかる仕組みでは、継続的な運用が難しくなる場合があります。

利用率だけで良し悪しを判断するのではなく、施策の目的に対して必要な従業員に届いているかを見ることがポイントです。

ウェルビーイングの取り組みは多面的な視点から考える

ウェルビーイングの取り組みでは、健康だけに目を向けるのではなく、働き方、人とのつながり、成長・キャリア、日常生活なども含めて、従業員や職場の状態を多面的に捉えることが出発点です。そのうえで自社で優先したい領域を整理し、その目的に合う施策を検討します。施策を選ぶ際には、対象となる従業員が利用・参加しやすいか、継続して運用できるかも確認します。

福利厚生を活用する場合も、メニューの多さだけでなく、自社が支援したい内容との一致、従業員の日常生活との接点、利用方法や運用負担などを比較することがポイントです。

カロリパークスは、歩数や睡眠、食事などの健康データの記録、健康診断データの管理などに対応した福利厚生サービスです。食事の写真からカロリーを自動推定して摂取カロリーを記録できるほか、歩数や睡眠、食事記録、健康診断データなどを活用したポイント機能も備えています。

健康支援や生活支援を含む福利厚生サービスを比較する際は、機能だけでなく、自社の導入目的、従業員の利用方法、導入後の運用負担まであわせて確認するとよいでしょう。カロリパークスの具体的なサービス内容や利用方法は、資料ダウンロードやお問い合わせから確認できます。

参考資料