コラム

健康経営優良法人認定とは?認定要件と申請の流れをわかりやすく解説

「健康経営優良法人の認定を受けるには、どのような取り組みが必要なのか」「申請までに何を準備すればよいのか」と疑問に感じることもあるのではないでしょうか。

健康経営優良法人認定は、健康経営に取り組む法人を対象とした認定制度です。申請にあたっては、健康施策を実施するだけではなく、経営方針や推進体制、取り組みの実施、評価・改善など複数の観点から要件を確認する必要があります。

認定を検討するときは、次のような疑問が生じやすくなります。

・健康経営優良法人の認定には、どのような要件があるのか
・自社はどの部門で申請すればよいのか
・申請に向けて、いつ頃から何を準備すればよいのか

本記事では、健康経営優良法人認定の仕組みから、認定要件、申請前に確認したいこと、申請方法とおおよそのスケジュールまで解説します。

健康経営優良法人認定とは

健康経営とは、従業員などの健康管理を経営的な視点から捉え、健康保持・増進につながる取り組みを戦略的に実践する考え方です。

健康経営優良法人認定は、こうした健康経営に取り組む法人のうち、一定の基準を満たした法人を認定する制度です。認定では、健康に関する施策の実施状況だけでなく、健康経営に関する方針や推進体制、施策の実行、評価・改善なども確認されます。

健康経営優良法人認定制度の目的

健康経営優良法人認定制度は、健康経営に取り組む法人のうち、特に優良な法人を「見える化」し、従業員や求職者、関係企業、金融機関などから社会的な評価を受けられる環境を整えることを目的としています。

制度は2016年度に経済産業省が創設し、所定の評価基準に基づいて日本健康会議が健康経営優良法人を認定します。

大規模法人部門と中小規模法人部門がある

健康経営優良法人認定には、「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」があります。

どちらの部門で申請するかは、法人の種類や業種、従業員数、資本金・出資金額など、所定の区分基準をもとに確認します。申請時に使用する主な書類も部門によって異なります。

部門主な位置づけ申請時に使用する主な書類
大規模法人部門所定の区分基準で大規模法人部門に該当する法人健康経営度調査票
中小規模法人部門所定の区分基準で中小規模法人部門に該当する法人健康経営優良法人認定申請書

また、大規模法人部門では上位法人に「ホワイト500」、中小規模法人部門では「ブライト500」や「ネクストブライト1000」の冠が付加されます。

自社がどちらの部門に該当するかは、申請年度に公開される区分基準をもとに確認します。

健康経営優良法人の認定要件

健康経営優良法人の認定では、健康に関する個別施策だけでなく、経営方針や組織体制、それらを継続して評価・改善する仕組みまで確認されます。

認定を目指す場合は、施策を選ぶ前に、まず認定要件の全体像を確認します。

認定要件は複数の観点から確認される

健康経営優良法人の認定要件は、「経営理念・方針」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」「法令遵守・リスクマネジメント」の5つの観点から構成されています。

具体的には、次のような取り組みが確認されます。

観点主に確認する内容具体例
経営理念・方針健康経営に関する方針や経営層の関与健康宣言の社内外への発信など
組織体制健康経営を推進する体制健康づくり担当者の設置、保険者との連携など
制度・施策実行健康課題を踏まえた取り組み健康診断の受診促進、健康教育、運動機会の提供、働き方に関する取り組みなど
評価・改善取り組みの実施状況や結果の確認実施状況を把握し、次年度の取り組みや計画に反映するなど
法令遵守・リスクマネジメント関係法令への対応定期健康診断の実施など

このように、認定では個別の健康施策だけでなく、健康経営を進める方針や体制、取り組みの実施状況、その後の評価・改善まで含めて確認されます。

認定には必須項目と一定の条件を満たす項目がある

健康経営優良法人の認定要件には、必ず満たす必要がある項目と、複数の評価項目の中から一定の条件を満たす必要がある項目があります。

たとえば中小規模法人部門では、健康宣言の社内外への発信や経営者自身の健康診断受診、健康づくり担当者の設置などが認定要件に含まれています。

一方、従業員の健康課題への対応では、健康診断の受診促進、健康教育、適切な働き方に向けた取り組み、コミュニケーション促進など複数の評価項目が設けられています。

どの項目が必須となるか、複数の項目のうちどの程度を満たす必要があるかは、申請する部門と年度によって確認します。

大規模法人部門と中小規模法人部門では認定基準が異なる

健康経営優良法人認定では、大規模法人部門と中小規模法人部門で、具体的な評価項目や認定に必要な条件が異なります。

大規模法人部門では「健康経営度調査票」、中小規模法人部門では「健康経営優良法人認定申請書」を使用し、それぞれの部門に設定された認定基準に基づいて審査されます。

健康経営に関する方針や推進体制、健康課題への対応など共通する考え方はありますが、片方の部門の認定要件をそのまま自社に当てはめることはできません。自社の申請区分を特定したうえで、その部門に対応する認定要件を確認して準備を進めます。

認定要件は毎年度確認する

健康経営優良法人認定では、毎年度の申請に合わせて調査票や認定申請書が公開されます。設問や認定要件が変更される場合もあるため、過去に申請したことがある法人でも、以前の要件をそのまま使用することは避けましょう。

次年度以降の認定を検討している場合は、直近の認定要件や申請書を参考に準備を進め、申請年度の資料が公開された段階で変更点を確認します。

健康経営優良法人の申請前に確認したいこと

認定要件を把握したら、申請書を作成する前に、自社の申請区分や必要な事前手続き、現在実施している健康施策を整理します。

ここで確認する目的は、認定項目を形式的に埋めることではなく、自社で既にできていることと、今後確認・対応する必要があることを分けることです。

自社の申請区分を確認する

最初に確認したいのが、大規模法人部門と中小規模法人部門のどちらで申請するかです。

申請区分は、法人格や日本標準産業分類に基づく業種、従業員数、資本金または出資金額などの基準を確認して判断します。具体的な区分基準は法人の種類によって異なるため、従業員数だけで判断せず、申請年度に公開されている「健康経営優良法人申請区分」と自社の情報を照らし合わせましょう。

申請する部門が決まれば、確認すべき認定要件や使用する申請書類も絞り込めます。

中小規模法人部門では健康宣言を確認する

中小規模法人部門への申請では、事前に「健康宣言事業」への参加が必要です。

健康宣言は、法人が従業員の健康づくりに取り組むことを明文化し、意思表示するものです。協会けんぽや健康保険組合に加入している場合は、加入している保険者が実施する健康宣言事業への参加を確認します。

国保組合や共済組合などの場合も、まず加入している保険者が健康宣言事業を実施しているかを確認します。実施していない場合には、条件によって自治体の健康宣言事業への参加や自社独自の健康宣言で代替できる場合があります。

健康宣言事業への参加方法や手続きは、加入している保険者などによって異なります。保険者や自治体が実施する健康宣言事業では、宣言から健康経営の実践・検証までを求められる場合があり、必要な期間や参加できる時期もさまざまです。

中小規模法人部門への申請を検討している場合は、申請受付が始まってから確認するのではなく、早めに加入保険者などへ参加方法や必要な手続きを確認しておきましょう。

自社の取り組みと認定要件を照らし合わせる

申請区分と事前手続きを確認したら、自社で現在実施している取り組みを認定要件と照らし合わせます。

整理したいのは、「制度があるか」だけではありません。例えば、次のような点を確認します。

  • 健康経営について経営方針として整理しているか
  • 推進する担当者や体制が明確になっているか
  • 従業員の健康課題を把握しているか
  • 課題に対応する取り組みを実施しているか
  • 実施した施策の状況を確認し、見直しているか

健康経営優良法人認定では、自法人の課題に応じて主体的に取り組むことが求められています。申請時の注意事項でも、他法人や外部事業者の記載例をそのまま当てはめるのではなく、自法人の課題を踏まえて取り組みを整理することが求められています。

福利厚生サービスを健康支援に利用している場合も、「導入済み」という事実だけで整理せず、誰を対象としているか、実際に利用できているか、利用状況を把握できるかなどを確認します。

自社の課題、取り組み、実施状況を整理したうえで認定要件と照らし合わせることで、申請までに確認すべき項目を把握しやすくなります。

健康経営優良法人認定の申請方法とスケジュール

健康経営優良法人認定は、年度ごとに申請を受け付けています。

申請の基本的な流れは部門ごとに大きく変わりませんが、申請期限や申請料、調査票・申請書の内容は年度によって変更される場合があります。ここでは、申請の基本的な流れと年間スケジュールを整理します。

大規模法人部門の申請の流れ

大規模法人部門では、「健康経営度調査票」に自社の取り組み状況を記入し、専用サイトから提出します。

基本的な流れは次のとおりです。

  1. 申請区分や認定要件を確認する
  2. 健康経営度調査票を作成する
  3. 専用サイトから調査票を提出する
  4. 認定審査を受ける
  5. 認定結果を確認する

初めて回答する非上場法人の場合は、新規IDの発行も必要です。

なお、健康経営度調査への回答のみを行い、認定申請を行わないこともできます。健康経営優良法人の認定を希望する場合は、認定申請まで行っているかを確認しましょう。

中小規模法人部門の申請の流れ

中小規模法人部門では、健康宣言への参加状況などを確認したうえで、「健康経営優良法人認定申請書」を作成します。

基本的な流れは次のとおりです。

  1. 健康宣言への参加状況を確認する
  2. 申請区分や認定要件を確認する
  3. 認定申請書を作成する
  4. 専用サイトから申請する
  5. 認定審査を受ける
  6. 認定結果を確認する

認定申請書には、入力内容をもとに認定基準への適合状況を簡易的に確認できるシートも用意されています。ただし、この判定だけで認定が決まるわけではありません。

申請は夏から秋、認定発表は翌年3月ごろが目安

健康経営優良法人認定は、近年では夏ごろに申請受付が始まり、秋ごろに締め切られ、翌年3月ごろに認定法人が発表されるスケジュールとなっています。

時期の目安主な内容
申請前健康宣言や申請区分を確認し、必要な取り組みを整理
夏ごろ申請受付開始、調査票・申請書を作成
秋ごろ申請締切
秋~冬審査、申請料の支払い
翌年3月ごろ認定法人の発表

直近の健康経営優良法人2027では、2026年8月17日に申請受付が始まり、大規模法人部門は10月9日、中小規模法人部門は10月16日が申請期限でした。

認定申請料は、大規模法人部門が1件88,000円(税込)、中小規模法人部門が1件16,500円(税込)です。

申請期限や申請料、調査票・申請書の内容は年度によって変更される場合があります。実際に申請する際は、健康経営優良法人認定事務局が公開する申請年度の受付期間、認定要件、申請料を確認してください。

健康経営優良法人認定は要件を確認して計画的に準備しよう

健康経営優良法人認定を目指す場合は、まず自社の申請区分を特定し、該当する部門の認定要件と現在の取り組み状況を整理することから始めます。

認定では、健康施策の有無だけでなく、経営方針や推進体制、課題に応じた施策の実行、その後の評価・改善などが対象となります。中小規模法人部門では健康宣言など事前に必要な手続きもあるため、申請時期から逆算して準備を進めましょう。

また、認定要件を満たすことだけを目的に施策を増やすのではなく、自社にどのような健康課題があり、その課題に対してどのような取り組みが必要なのかを整理することも必要です。福利厚生サービスを活用する場合は、機能の有無に加え、従業員が利用しやすいか、利用状況を把握できるか、継続して運用できるかといった点も判断材料になります。

カロリパークスは、歩数・食事記録・睡眠などの健康データの記録や、健康診断データの管理などに対応した福利厚生サービスです。

健康支援に活用する福利厚生サービスを検討する際は、自社の健康課題との関係や従業員の利用方法、導入後の運用方法なども含めてサービス内容をご確認ください。

参考資料