「社員エンゲージメントを高めたいものの、具体的に何をすればよいのか分からない」と感じることもあるのではないでしょうか。
社員エンゲージメントを高める取り組みには、会社の方針や目標の共有、上司と部下の対話、成長支援、職場環境の整備などがあります。ただし、取り組みを増やせばよいわけではありません。自社でどのような課題が生じているかによって、優先して見直すべき部分は変わります。
検討する際には、次のような疑問が生じやすくなります。
| ・社員エンゲージメントとは、具体的に何を指すのか ・エンゲージメントが高い職場には、どのような特徴があるのか ・自社では何を見直し、どのような取り組みから始めればよいのか |
本記事では、社員エンゲージメントの意味を整理したうえで、エンゲージメントが高い職場を考える際の視点や、自社の課題に合わせて取り組みを選ぶ方法について解説します。
社員エンゲージメントとは
「社員エンゲージメント」は、「従業員エンゲージメント」と表現されることもあります。
社員エンゲージメントは、社員と組織との関係に着目した概念です。会社が目指す方向性を理解し、それが自身の目指す方向性と重なることで、「組織に貢献したい」と思えている状態などを捉えます。
| 概念 | 主に着目する関係 | 主な視点 |
| 社員エンゲージメント | 個人と組織 | 組織の方向性への理解や貢献意欲 |
| 従業員満足度 | 従業員と職場環境・待遇など | 職場や制度、待遇などへの満足 |
| ワークエンゲージメント | 個人と仕事 | 仕事への熱意、やりがい、活力 |
従業員満足度との違い
従業員満足度は、給与や福利厚生、働き方、職場環境などに対して、従業員がどの程度満足しているかを見る考え方です。
一方、社員エンゲージメントでは、会社の方向性を理解し、自分の仕事とのつながりを感じ、組織へ貢献したいと思えているかを見ます。職場環境や待遇への満足だけで、社員エンゲージメント全体を判断することはできません。
ワークエンゲージメントとの違い
ワークエンゲージメントは、仕事そのものとの関係に着目した概念です。仕事にやりがいや誇りを感じているか、熱心に取り組めているか、仕事から活力を得られているかといった状態を捉えます。
これに対して社員エンゲージメントは、組織が目指す方向性への理解や組織への貢献意欲など、「会社とのつながり」に重点があります。
仕事内容にやりがいを感じていても、会社がどこを目指しているのか分からない場合もあるため、両者は同じものとして扱わないことが重要です。
社員エンゲージメントが高い職場の特徴
社員エンゲージメントを高める方法を考える前に、「どのような職場の状態を目指すのか」を整理しておくと、自社に必要な取り組みを判断しやすくなります。
| 特徴 | 見ておきたい状態 |
| 会社の方向性とのつながり | 会社の目標と自分の役割との関係を理解できる |
| 上司との対話 | 意見や悩み、仕事について話せる機会がある |
| 成長・強みの発揮 | 学習や挑戦、自分の強みを生かす機会がある |
| 意見・相談のしやすさ | 意見を伝えたり、相談したりしやすい |
| 働き続けやすい環境 | 継続して働くうえでの負担や課題に対応できる |
会社の方向性と自分の役割がつながっている
会社が理念や経営方針を掲げていても、それが日々の仕事とどうつながっているのか分からなければ、自分の役割は見えにくくなります。
理念や目標を知っているかだけでなく、会社の目標と自分の業務との関係を、社員自身が説明できるかどうかが一つの目安です。
上司と継続的に対話できる
仕事の状況や困っていること、今後挑戦したいことなどを上司と話せる状態になっているかも、一つの視点です。単に会話の機会があるだけでなく、悩みや仕事への考え方を伝えられるか、必要なフィードバックを受けられるかを見ます。

成長や強みを発揮する機会がある
社員が今後の成長をイメージできるか、自分の強みを仕事で生かせているかも見ておきたいところです。学びや挑戦の機会があるか、自分の経験や得意分野を生かせているかといった点から確認します。
意見を伝えたり、相談したりしやすい
職場に課題があったときに、社員が意見を伝えたり、相談したりしやすい環境になっているかも重要です。
アンケートや相談窓口を設けていても、「伝えても何も変わらない」と感じられていれば、意見は集まりにくくなります。意見を集める仕組みだけでなく、寄せられた意見を会社がどのように受け止め、どのように対応すると判断したのかを社員に示すことも必要です。
働き続けやすい環境が整っている
会社の方針への共感や仕事への意欲があっても、日常的な働きにくさが大きければ、仕事を続ける負担になる場合があります。
勤務環境、健康面、仕事と生活の両立など、社員がどのような負担を感じているのかも把握しておく必要があります。福利厚生も、健康面や生活面などから働き続けやすい環境を支える方法の一つです。
社員エンゲージメントを高める前に現状を把握する
社員エンゲージメントを高める取り組みには複数の選択肢がありますが、最初から具体的な施策を決める必要はありません。まず、「現在どこに課題があるのか」を整理し、その原因に対応する施策を検討します。
エンゲージメントが低い要因を分けて考える
「社員エンゲージメントが低い」という結果だけでは、何を改善すべきかまでは判断できません。
会社の方向性が十分に伝わっていない場合と、上司とのコミュニケーションに課題がある場合では、必要な対応も変わります。仕事と生活を両立しにくいことが原因なら、業務の進め方や職場環境、福利厚生などを見直す必要があるかもしれません。
前章で整理した「会社の方向性」「対話」「成長・強み」「意見の伝えやすさ」「働き続けやすい環境」といった観点から、自社ではどの部分に課題があるのかを整理します。
サーベイの数値だけで判断しない
現状を把握する方法の一つに、社員の組織への意識や仕事への感じ方などを質問する「エンゲージメントサーベイ」があります。サーベイは組織や部署ごとの傾向を把握する材料になりますが、スコアだけでは数値が低い理由まで分からない場合があります。
例えば「上司との関係」に関する評価が低くても、対話の回数が不足しているのか、フィードバックが不足しているのか、相談しにくさがあるのかによって対応は変わります。1on1やヒアリングの内容、残業時間や休暇取得状況など、すでに社内にある情報も照らし合わせながら背景を探ります。
厚生労働省が2026年に公開した「働きがいのある職場づくりのための支援マニュアル」でも、現状確認と課題の特定を行ったうえで、課題に応じた施策を検討し、その後に効果を検証する流れが整理されています。
社員エンゲージメントを高めるための取り組み
現状を整理したら、見えてきた課題に対応する取り組みを検討します。
| 確認された課題 | 検討する取り組みの例 |
| 会社の方向性とのつながりが見えにくい | 方針や目標と各部署・個人の役割を結び付けて共有する |
| 上司との対話が不足している | 1on1やフィードバックの方法を見直す |
| 成長実感を持ちにくい | 研修、キャリア支援、挑戦機会などを検討する |
| 意見を伝えにくい | ヒアリングや意見共有の仕組みを見直す |
| 働き続けるうえで負担がある | 働き方、職場環境、福利厚生などを見直す |
一つの施策ですべての課題に対応しようとせず、自社で不足している部分との対応関係を見ながら優先順位を決めます。
会社の方向性と社員の役割をつなげる
会社の理念や目標を周知するだけでなく、それが部署や社員一人ひとりの業務とどう関係するのかを説明します。
たとえば、全社目標を部署ごとの目標へ落とし込み、各担当者に期待する役割を具体化する方法があります
目標管理制度がある場合も、その目標が会社やチームの方向性とどうつながるのかを共有すると、自分の仕事の位置付けを理解しやすくなります。
上司との対話とフィードバックを増やす
上司とのコミュニケーションに課題がある場合は、対話の機会だけでなく内容も見直します。
1on1では現在困っていること、今後取り組みたいこと、仕事への考え方などを話せる場にする方法があります。業務へのフィードバックが不足している場合は、評価面談だけでなく、日常業務の中で具体的に伝えることも考えられます。
成長や強みを生かせる環境をつくる
成長機会が不足している場合は、研修の追加だけでなく、日々の業務経験も含めて考えます。
新しい業務への挑戦、プロジェクトへの参加、担当範囲の変更、キャリアについて相談する機会なども選択肢です。本人が伸ばしたい能力や現在の役割との関係を踏まえて成長機会を設計することで、施策の方向性を定めやすくなります。
働き続けやすい環境や福利厚生を見直す
働き続けるうえでの負担が課題になっている場合は、働き方や職場環境とあわせて福利厚生を見直す方法があります。福利厚生には、健康支援、食事・生活支援、育児・介護支援、学習支援などがあります。「福利厚生を増やすこと」を目的にせず、自社で把握した課題との関係を見ます。
また制度を用意していても、社員が存在を知らなければ利用にはつながりません。
福利厚生を見直す際は、社員に認知されているか、実際に利用されているか、継続して利用しやすいか、利用が特定の社員に偏っていないかといった利用実態も確認します。
施策を実施して終わりにしない
社員エンゲージメントを高める取り組みは、導入した時点で完了するものではありません。1on1であれば実施率だけでなく、社員が話しやすくなったか、必要なフィードバックを受けられているかを振り返ります。福利厚生についても、導入後の利用状況や社員の反応を確認し、必要に応じて見直します。
施策を始める前に「どの状態を改善したいのか」を整理しておけば、実施後の変化も比較しやすくなります。
社員エンゲージメント向上は自社の課題に合う取り組みから始めよう
社員エンゲージメントを高めるには、特定の施策を一律に導入するのではなく、自社でどの部分に課題があるのかを整理し、それに対応する取り組みを選ぶことが重要です。
会社の方向性と社員の役割とのつながり、上司との対話、成長や強みを生かす機会、意見の伝えやすさ、働き続けやすさなどから現状を確認し、必要に応じて方針の共有方法や1on1、育成、職場環境、福利厚生などを見直します。施策を実施した後も、社員の状態や利用状況の変化を確認し、必要に応じて改善していくことが大切です。
働き続けやすさや健康面に課題がある場合には、業務の進め方や職場環境に加え、健康支援や生活支援につながる福利厚生も選択肢になります。
カロリパークスもこうした福利厚生の一つとして、歩数計測や食事記録、健康診断データ管理など、社員の日常的な健康づくりを支援する機能を備えています。健康面の支援や働き続けやすい環境づくりを見直す際は、自社で支援したい内容と照らし合わせながら、必要な機能や社員の利用しやすさを確認してみてください。

