コラム

健康経営の取り組みとは?具体例と自社に合う施策の選び方

健康経営に取り組みたいと考えていても、「具体的に何をすればよいのか」「どの施策から始めればよいのか」と迷うこともあるのではないでしょうか。

健康経営では、健康診断後のフォロー、運動・食事・睡眠などの生活習慣への支援、メンタルヘルス対策、働き方や職場環境の見直しなど、さまざまな取り組みが考えられます。

検討する際には、次のような疑問が生じやすくなります。

・健康経営ではどのような取り組みを行うのか
・具体的にはどのような施策があるのか
・自社では何を基準に取り組みを選べばよいのか

本記事では、健康経営で検討できる取り組みの全体像と具体例を紹介し、自社に合う施策を選ぶポイントや実施後の見直し方について解説します。

健康経営ではどのような取り組みを行うのか

健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する考え方です。

健康経営で検討する領域は、健康診断や運動支援に限りません。従業員の健康状態や生活習慣、心の健康、働き方など、健康に影響する要因を幅広く捉えて検討します。

健康経営優良法人2026の認定要件では、受診勧奨、適切な働き方、仕事と治療の両立、女性や高年齢従業員の健康への対応など、複数の領域が評価項目として示されています。認定要件は年度によって変更されるため、認定取得を検討する場合は対象年度の最新情報を確認してください。

主な領域を整理すると、次のようになります。

取り組みの領域主な内容
健康状態の把握・フォロー健康診断、再検査、保健指導など
生活習慣への支援運動、食事、睡眠など
心の健康への支援ストレスチェック、相談、研修など
働き方・職場環境労働時間、業務負担、休憩など
個々の状況への支援性差、年代、治療、育児・介護など

取り組みの全体像を把握したうえで、次章から具体的な施策を見ていきます。

健康経営の具体的な取り組み例

ここからは、健康経営で実際に検討できる取り組みを具体的に紹介します。

健康診断後の受診や保健指導を支援する

健康診断は、従業員の健康状態を把握するための基礎となります。対象となる労働者への健康診断の実施や結果の通知などは、労働安全衛生法に基づいて事業者に求められる健康管理です。

健康経営としては、健康診断を実施するだけでなく、その結果をその後の健康支援につなげる取り組みが考えられます。

例えば、再検査や精密検査が必要な従業員への受診勧奨、保健指導への案内、健診結果の継続的な管理などです。

健診結果を健康支援に活用するには、必要に応じて受診勧奨や保健指導など、その後の対応につなげることが重要です。受診が必要な人に情報が届いているか、必要な支援につなげられているかまで確認することがポイントです。

運動する機会をつくる

運動機会を増やす施策も、健康経営で検討される取り組みの一つです。

例えば、ウォーキングイベントの実施、歩数の記録、スポーツクラブの利用支援、職場で身体を動かす機会を設けるといった方法が考えられます。職場における健康保持増進では、従業員の生活状況などを考慮した運動指導も健康づくりの取り組みとして位置づけられています。

運動施策を検討する場合は、イベントを実施すること自体を目的にしないことがポイントです。日常生活のなかで身体を動かすきっかけをつくれるかという視点で考えます。

また、決まった時間・場所に集まる方法だけでは、勤務時間や勤務地によって参加しにくい人が生じる場合があります。歩数記録など、各自が取り組める方法を組み合わせることも選択肢になります。

食生活を見直すきっかけをつくる

食生活への支援では、従業員が普段の食習慣を振り返り、改善を考えられる機会を設けます。

具体的には、食事内容の記録、栄養や食生活に関する情報提供、健康を意識した食事を選びやすい環境づくりなどが考えられます。職場における健康保持増進の取り組みでも、食習慣や食行動の改善に向けた栄養指導が挙げられています。

情報を一方的に提供するだけではなく、「自分は普段どのような食事をしているのか」を振り返れる仕組みを設けることで、日常生活との接点を持たせやすくなります。

なお、食生活に関する課題や必要な対応は個人によって異なります。企業が一律の食事方法を求めるのではなく、従業員自身が健康について考えるための情報や機会を提供する視点が必要です。

睡眠を見直すきっかけをつくる

睡眠も、生活習慣に関する健康支援の対象となります。

取り組みとしては、睡眠時間や生活リズムを記録できる仕組み、睡眠に関する情報提供、セミナーや研修などが考えられます。職場で行う健康指導の対象には、勤務形態や生活習慣による健康上の問題に対応するための睡眠等に関する支援も含まれています。

例えば、勤務時間が不規則な場合は、単に「睡眠時間を増やす」と呼びかけるだけでは実践しにくいことがあります。

睡眠時間や生活リズムを把握する機会をつくり、従業員自身が日々の状態を振り返れるようにするなど、働き方も踏まえて取り組みを考えます。

心の健康を支える体制を整える

心の健康への支援では、従業員自身がストレスに気づくための取り組みだけでなく、相談できる環境や職場側の支援体制を整えることも検討します。

具体例として、ストレスチェック、相談窓口の整備、セルフケア研修、管理職を対象としたラインケア研修などがあります。

職場のメンタルヘルス対策では、従業員自身による「セルフケア」、管理監督者による「ラインによるケア」、産業保健スタッフ等によるケア、外部の専門機関等を活用するケアという4つの枠組みで取り組む考え方があります。ラインケアには、職場環境の把握・改善や部下からの相談への対応などが含まれます。

ストレスチェックについては法令に基づく制度です。2026年8月時点では50人未満の事業場にも実施義務を広げることが決まっており、2028年4月1日から施行されます。対象や実施方法については、実施時点の制度を確認する必要があります。

相談窓口や研修についても、用意するだけではなく、どこに相談すればよいか、どのようなときに利用できるかを従業員に伝えることが必要です。

労働時間や業務負担を見直す

健康経営では、従業員本人の運動や食生活だけでなく、働き方や職場環境にも目を向けます。

例えば、労働時間を把握する、業務量や役割分担を見直す、休憩を取りやすい運用にする、特定の部署や担当者に業務が集中していないかを確認するといった取り組みが考えられます。

健康経営優良法人2026の認定要件でも、「適切な働き方の実現」が評価項目の一つとして示されています。

例えば、業務負担そのものに課題がある状態で、従業員に運動や睡眠改善だけを促しても、健康課題への対応として十分とは限りません。

勤務状況や業務分担を確認し、健康上の課題につながる職場側の要因がないかを検討することも必要です。

従業員の状況に応じた健康支援を行う

従業員が必要とする健康支援は一様ではありません。

例えば、女性特有の健康課題に関する相談や情報提供、高年齢従業員の健康・体力面への支援、治療と仕事の両立支援、育児・介護と仕事の両立支援などが考えられます。

健康経営優良法人2026の認定要件でも、女性の健康保持・増進、高年齢従業員の健康や体力の状況に応じた取り組み、育児・介護との両立支援などが評価項目として示されています。

また、治療と仕事を両立する場合には、本人の状況に応じて、事業者、労働者、医療機関などが必要な情報を共有しながら支援を検討することが基本となります。実際に必要となる就業上の措置等は、一人ひとりの状況によって異なります。

すべての従業員へ同じ支援を提供することだけを前提にせず、どのような人にどのような支援が必要なのかを確認して取り組みを検討します。

自社に合う健康経営の取り組みを選ぶ3つのポイント

自社で何を実施するかを決める際は、「課題に合っているか」「対象者が利用できるか」「継続して運用できるか」の3つの視点から確認します。

解決したい健康課題を明確にする

まず、自社がどのような課題に対応したいのかを整理します。

健診結果、ストレスチェックの集団分析結果、勤務状況、従業員アンケート、現在実施している施策の利用状況など、確認できる情報は複数あります。

例えば、運動不足への対応が必要な場合と、長時間労働や心の健康に課題がある場合では、選ぶ取り組みは異なります。

他社で実施されているからという理由だけで選ぶのではなく、「自社のどの課題に対する施策なのか」を説明できるか確認します。健康経営では、自社の健康課題と健康投資を対応させて考えることが基本的な考え方の一つです。

対象者が参加・利用しやすいか確認する

健康課題に合った施策でも、対象となる従業員が利用しにくければ、想定した運用にはなりません。

検討時には、勤務場所や勤務時間、利用する端末、参加方法、周知方法などを確認します。

例えば、決められた時間に一つの場所へ集まる必要がある施策では、勤務時間や勤務地によって参加できない人が生じる可能性があります。アプリやWebサービスを使用する場合も、登録方法や日常的な操作が過度な負担にならないかを確認します。

施策が「用意されているか」だけでなく、対象となる従業員が実際に参加・利用できる仕組みになっているかまで確認することがポイントです。

継続して運用できるか確認する

健康経営の取り組みは、導入時だけでなく、その後も運用することを前提に選びます。

例えば、毎回担当者が個別に案内しなければ利用できない、利用状況を把握するための集計に大きな負担がかかるといった運用では、継続が難しくなる場合があります。

施策を選ぶ段階で、周知や利用促進を続けられるか、管理部門の負担が過度に大きくならないか、利用状況を把握できるかなどを確認しておきます。

従業員側の利用しやすさとあわせて、企業側が継続して運用できる仕組みかという視点から判断します。

健康経営の取り組みは定期的に見直す

健康経営の取り組みは、実施後の状況を確認し、必要に応じて運用を見直します。

まず、対象者に施策が知られているか、実際に参加・利用されているか、継続して利用されているかを確認します。

利用が進んでいない場合は、すぐに施策そのものを変更するのではなく、「周知が不足している」「利用方法が分かりにくい」「勤務時間や勤務地によって参加しにくい」など、原因を切り分けます。

そのうえで、周知方法を変える、利用手順を見直す、実施する時間や対象者を調整するなど、確認した原因に応じて改善します。

また、自社の健康課題や働き方自体が変化している場合には、現在の施策がその状況に合っているかも改めて確認します。

健康経営は自社の課題に合う取り組みから始める

健康経営では、健康診断後のフォロー、運動・食事・睡眠、心の健康、働き方や職場環境など、さまざまな領域から取り組みを検討できます。

大切なのは、施策の数を増やすことではなく、自社が解決したい健康課題に合う取り組みを選ぶことです。そのうえで、対象となる従業員が利用しやすく、企業側も継続して運用できるかを確認します。実施後は利用状況を確認し、必要に応じて周知や利用方法などを見直していきます。

カロリパークスは、歩数・睡眠・食事などの健康データを記録できるほか、健康診断データの管理や、健康行動等に応じたポイント機能を備えた福利厚生サービスです。また、利用状況を定期的なレポートで確認できる仕組みも用意されています。

健康支援に活用する福利厚生サービスを検討する際は、自社の健康課題との関係、従業員の利用方法、導入後の運用方法などもあわせて確認してみてください。カロリパークスのサービス内容については、資料ダウンロードやお問い合わせから確認できます。

参考資料