従業員のメンタルヘルス支援や相談体制を整えるために、外部サービスの導入を検討しているものの、どのサービスを選べばよいか迷うこともあるのではないでしょうか。
本記事で扱う「メンタルヘルス・EAP型」には、心理的な悩みを相談できるEAP・カウンセリングサービスに加え、組織の状態を把握するサーベイや、仕事・キャリアについて考えるためのコーチングサービスも含めています。これらは支援する対象や目的が異なるため、自社が従業員や組織にどのような支援を提供したいのかを整理したうえで検討することが重要です。
検討時には、次のような疑問が生じやすくなります。
| ・メンタルヘルス・EAP型のサービスでは何ができるのか ・各サービスにはどのような特徴があるのか ・自社にはどのサービスが合うのか |
本記事では、「福利厚生サービスカオスマップ2026」のメンタルヘルス・EAP型に掲載した3サービスを取り上げ、それぞれの特徴と選ぶときの判断軸を紹介します。
※掲載順は、サービスの順位や優劣を示すものではありません。
※掲載内容は2026年8月19日時点で確認できる公開情報をもとにしています。
※本記事でいう「メンタルヘルス・EAP型」は、「福利厚生サービスカオスマップ2026」における分類です。
メンタルヘルス・EAP型の福利厚生サービスとは
EAPは「Employee Assistance Program」の略で、日本語では「従業員支援プログラム」と訳されます。働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」では、事業場外資源によるケアの一つに位置づけられるメンタルヘルス支援サービスで、カウンセリングなどを提供するものと説明されています。
EAPでは、専門家によるカウンセリングや外部相談窓口などが提供されます。サービスによっては、ストレスチェックやメンタルヘルス研修などにも対応しています。社内とは別に相談できる窓口を設けることで、従業員が悩みを相談できる環境づくりに活用できます。
また、心身の状態や職場環境を把握するサーベイ、仕事やキャリア上の課題を整理するコーチングなど、EAPやカウンセリングとは目的の異なるサービスもあります。企業は必要な支援に応じて、従業員への個別支援、相談体制の整備、組織状態の把握などに活用できます。
メンタルヘルス・EAP型の福利厚生サービス3選
ここからは、「福利厚生サービスカオスマップ2026」のメンタルヘルス・EAP型に掲載した3サービスを紹介します。
サービスによって、従業員への心理的な相談支援、組織状態の把握、仕事やキャリアに関するコーチングなど、役割が異なります。
cotree for Biz

cotree for Bizは、株式会社cotreeが提供する法人・団体向けのメンタルヘルス支援サービスです。オンラインカウンセリング・外部相談窓口を中心に、メンタルヘルス研修やストレスチェックなどを提供しています。
| 主な特徴 ・オンラインでカウンセリングを受けられる ・従業員への1対1の支援を提供 ・研修やストレスチェックなども用意 |
オンラインカウンセリングでは、従業員が仕事だけでなく、家族や人間関係、自分自身に関する悩みなどについて相談できます。外部相談窓口として利用できるため、社内の担当者とは別の相談先を設けたい場合にも検討できます。
従業員への個別支援だけでなく、管理職や従業員を対象としたメンタルヘルス研修、ストレスチェックなども提供されています。心理的な相談の場を設けるだけでなく、メンタルヘルスに関する複数の施策を組み合わせて検討したい場合に、確認しておきたいサービスです。
ラフールサーベイ

ラフールサーベイは、株式会社ラフールが提供する組織改善ツールです。従業員への相談を中心とするサービスとは異なり、サーベイを通じて従業員や組織の状態を把握し、課題を確認することに重点があります。
| 主な特徴 ・メンタル・フィジカル・エンゲージメントを定点観測できる ・複数の項目から組織の状態を把握できる ・EAPなどの対策サービスも案内されている |
ショートサーベイでは、メンタル・フィジカル・エンゲージメントを定点観測できます。ディープサーベイでは、これらに加えて仕事内容、人間関係、組織との関係などを含む項目を数値化し、組織の状態を確認できます。
また、ストレス、離職・ハラスメントリスク、従業員満足度などを確認する機能も提供されています。従業員向けのマイページでは、サーベイ結果に応じたアドバイスコメントやセルフケア動画などを確認できます。
ラフールサーベイの公式サイトでは、サーベイで把握した課題への対策として、24時間電話相談やオンラインカウンセリング、産業医の紹介、研修などのサービスも案内されています。利用条件やサーベイ本体との契約関係については、導入時に確認が必要です。
コーチングHQ

コーチングHQは、株式会社HQが提供する法人向けコーチングサービスです。約20のコーチングテーマから、企業の組織課題に応じたテーマを設定できます。
| 主な特徴 ・従業員が個別にコーチングを受けられる ・組織課題に応じてコーチングテーマを設定できる ・企業側が費用負担を柔軟に設定できる |
コーチングHQでは、管理職や次世代リーダー候補だけに対象を限定せず、法人の制度として従業員へコーチングを提供できます。組織課題に合わせてコーチングテーマを設定できるほか、企業と従業員のニーズに応じて、法人負担分を柔軟に設定できる仕組みを採用しています。
コーチングHQは、カウンセリングを提供するEAPとはサービスの目的や支援方法が異なるため、「メンタルヘルス・EAP型」というカテゴリ名だけでカウンセリングサービスとして比較しないことがポイントです。従業員が仕事上の課題やキャリアについて考え、自分なりの目標や行動を整理する機会を提供したい場合の選択肢として位置づけられます。
メンタルヘルス・EAP型サービスを選ぶときの判断軸
メンタルヘルス・EAP型に分類されるサービスは、提供する支援内容が同じではありません。
そのため、機能数だけを比べるのではなく、従業員や組織のどのような課題に対応したいのかを明確にして候補を絞る必要があります。
どのような悩み・課題を支援したいかで選ぶ
まず確認したいのは、従業員のどのような悩みや課題への支援を目的としているかです。
たとえば、ストレスや人間関係などについて専門家へ相談できる場を設けたい場合と、仕事やキャリアについて考える機会を提供したい場合では、必要なサービスが異なります。
また、従業員本人から相談を受けることではなく、組織全体の状態や職場の課題を把握することが目的の場合は、サーベイを中心とするサービスが候補になります。
「メンタルヘルス・EAP型」というカテゴリだけで選ぶのではなく、心理的な相談、仕事やキャリアに関するコーチング、組織状態の把握のうち、どの支援を必要としているのかを最初に整理すると、サービス間の違いを判断しやすくなります。
個人への支援と組織への支援のどちらを重視するかで選ぶ
次に、支援の対象を確認します。
カウンセリングやコーチングは、基本的に従業員本人との対話を通じて個人を支援します。一方、組織サーベイでは、従業員から集めた回答をもとに、部署や組織全体の状態を把握することが中心になります。
たとえば、「従業員が悩んだときに相談できる外部窓口を用意したい」という目的と、「組織のどこに課題があるのかを把握したい」という目的では、見るべきサービスが変わります。
個人支援と組織支援はどちらか一方しか選べないものではありません。サービスによっては両方に関係する機能を持つため、選定時には何を中心的な目的とするかを決めて比較することがポイントです。
心理的な相談・カウンセリングが必要かで選ぶ
従業員の心の悩みを相談できる体制を整えることが目的であれば、心理的な相談やカウンセリングを提供しているかを確認します。
EAPはメンタルヘルス支援サービスの一つですが、本記事で紹介したコーチングは、EAPや心理カウンセリングと同じものではありません。EAPは事業場外資源によるケアの一つとして、カウンセリングなどを提供するものと位置づけられています。
そのため、「相談できる」という表現だけで判断せず、心理的な悩みへの相談なのか、仕事やキャリア上の課題を整理するコーチングなのかまで確認する必要があります。
メンタルヘルスに関する相談先を設けること自体が目的の場合は、心理的な相談への対応範囲を優先して候補を比較するとよいでしょう。
従業員の状態把握や組織分析まで必要かで選ぶ
従業員本人への支援に加えて、組織の状態を把握したい場合は、サーベイや分析機能の有無が選定基準になります。
組織サーベイでは、従業員から回答を集めることで、メンタル面だけでなく、エンゲージメント、人間関係、仕事や組織との関係などを確認できるサービスがあります。たとえばラフールサーベイでは、メンタル・フィジカル・エンゲージメントの定点観測や、複数の項目を使った組織分析が可能です。
一方、従業員が必要なときに相談できる窓口を用意することが目的であれば、詳細な組織分析機能が必須とは限りません。
相談の場を提供したいのか、組織状態を把握したうえで施策を検討したいのかを分けて考えることで、必要以上に機能の多さだけでサービスを選ぶことを避けやすくなります。
必要な支援に合うメンタルヘルス・EAP型サービスを選ぼう
メンタルヘルス・EAP型の福利厚生サービスを選ぶ際は、まず従業員や組織にどのような支援が必要なのかを整理することが出発点です。
今回紹介したサービスには、心理的な悩みを相談できるカウンセリング、組織状態を把握するサーベイ、仕事やキャリア上の課題を整理するコーチングなどがあり、それぞれ役割が異なります。
そのため、サービス名や機能数だけで比較するのではなく、「どのような悩み・課題を支援するのか」「個人と組織のどちらへの支援を重視するのか」「心理相談が必要なのか」「組織状態の把握まで行いたいのか」を確認して候補を絞りましょう。候補を絞った後は、対象者や具体的な提供内容、最新の契約条件などを各サービスの資料で確認します。
また、メンタルヘルス支援だけでなく、日常的な健康づくりを含めて福利厚生を見直す場合は、他のカテゴリも含めて比較する方法があります。
カロリパークスは、歩数・食事記録・健康診断データ管理などの機能を備えた福利厚生サービスです。健康支援を含む福利厚生サービスを検討する際は、「福利厚生サービスカオスマップ2026」やカロリパークスの資料も比較材料としてご活用ください。


